AnyBody 適用例
AnyBody最上位の手詳細筋骨格モデル(レーゲンスブルク?ウルムハンドモデル Regensburg-Ulm Hand Model:RUHM)
人體の中でも、『手』?『手先』は、日常生活において、単純な作業から複雑で細かい作業、大きな動きから小さな動きまで、最もバリエーションに富んだ形で利用される部位でしょう。
AnyBody筋骨格モデルオプションでも、実際の手に即したセグメントの分割レベルにおいては、早い段階からモデル化がおこなれていました。
<Detailed Hand Modelリンク>
このモデルでは、細かい17個の骨を模しており、概ね実際の手骨構成をモデル化しているので、動きの再現は可能でした。しかしながら力の解析(Inverse-Dynamics)フェーズにおいては、力の供給元(Force Provider)が、関節の回転トルクアクチュエータ(いわば回転モータのようなもの)によるものです。5本指への負荷分配は妥當なモデルですが、実際の力の有り様である、筋肉収縮力による力の供給機構とは、かけ離れたものでした。
現在、AnyBodyにおいて、このモデルが大きく進化しました。
人間が行い得るあらゆる手先の動作に対し、力の源となるほぼすべての筋肉が忠実に再現?モデル化され、完全” Real Hand Model ”として、ユーザ様にご利用頂けるようになりました。
<RUHM:Regensburg-Ulm Hand Modelリンク>
この完璧なAnyBody最上位の手詳細筋骨格モデル『レーゲンスブルク?ウルム手モデル (RUHM:Regensburg-Ulm Hand Model) は、Havelkováらによる解剖學的研究のデータを使用した、すべての外因性筋肉と內在筋を含む詳細手モデルであり,ウルム大學とレーゲンスブルク工科大學のLucas Engelhardt と Maximilian Melzner によって開発されました。
尺骨と橈骨を含む22の手セグメントと、合計31個のDOF(Degrres of Freedom :自由度) を與える、生理學的に理想的な関節によってリンクされたモデルで構成されています。複雑さを軽減するために、手根骨は1つの剛體として扱われます。
【解析事例】
下のアニメは、RUHMを使用した、PCなどで用いられるボールトラッキングデバイスの操作解析例です。
動作の定義については、ここでは、操作されるボール側の挙動(球體の転がり運動)をベースにし、そこから逆運動學により、マウスを包むように握る掌部分、テーブルに載せている手首、ボールをコントロールする親指先部分などを、AnyBodyの強力なオプションである、ソフト拘束オプション、および、運動學的コンビネーション計測(AnyKinMeasureLinComb)などを駆使して、再現しています。
測定データを使っているわけではありませんが、可能な限り実情を反映したものとなっています。
※もちろん、指先の実際の計測データ(全ての骨の計測、または一部の計測でも)があれば、そのまま動作條件として利用できます(後述)
力の伝達経路となる接觸狀態については、力の実測データの用意は無くとも、接觸反力推定を可能とする、これもAnyBodyの強力な機能:”仮想筋”オプションを用いて、その動作を再現するのに必要とされる力學條件、すなわち外部環境からの力と、操作のために発揮する手の筋肉の時々刻々のバランス狀態を正しく算出します。
この手詳細モデルを用いた解析により、いままで見ることができなかった、手の內部で起きていることが把握でき、「こういう力の入れ方?伝わり方でボールを操作しているんだ」と理解できるようになるでしょう。
【手詳細?指先の測定データ?、ハンドトラッキングデバイスについて】
最近では、ハンドトラッキング技術が急速に進化しております。
それらの技術で得られる、非常に容易、かつ正確なハンドのモーションキャプチャデータは、AnyBodyにとっては、詳細な手モデルの使用において、最大の障害となりうる”測定データ準備の困難さ”というハードルを大幅に下げ、手軽に手の詳細解析を行える道を示してくれます。